期待と不安の「雲取山2017」

今回はちょっと真面目な話です。

来年2017年は、雲取山の年であることをご存知ですか?
雲取山の標高が2017mなんです。ほら、ね。
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西暦と百名山の標高が合致するのは、
越後駒ヶ岳(2003m)以来14年ぶり、次は美ヶ原(2034m)の17年後になります。

七ツ石小屋にも「来年の年賀状の写真に使おうと思って」と
雲取山山頂を目指す方が、すでに何名かご宿泊されていますよ〜。

小屋番としては今後の予想される賑わいにワクワクするのと同時に
ちょっと、いやかなり不安も感じています。

ここ七ツ石小屋は、
鴨沢バス停・丹波山村営駐車場から雲取山山頂・雲取山荘へ向かう、
いわゆる「鴨沢ルート」上にあります。
都心からアクセスしやすく初心者向けでもあるので、多くの方が来られるのですが
中には危なっかしい、または明らかに危険な登山者もいます。

例えば
・地図を持っていない
・重要な装備(ヘッドライト、雨具)を持っていない
・お金を持っていない
・食料を(行動食すら)持っていない
・計画性がない(当日の思いつきで来た)
・雲取山荘を目指している、または雲取山頂日帰り往復を目指しているが、到着が日没後になるのが確実(コースタイム、自分の体力を知らない)
・七ツ石小屋に着いた時点ですでに日没している、それどころか真夜中である
・上記2つ以上のコンボである
などなど、枚挙に暇がありません。

このような方々に臨機応変に対応し、
ときに奥多摩小屋への宿泊、当小屋への宿泊、または下山を提案するのが
この位置にある七ツ石小屋の役割であるとは思っていますが、
それにしてももうちょっと真摯に山と向き合ってほしいな…とため息をつくこともしばしばです。

上記のような登山者が、2017フィーバーに踊らされて
これから日没の早くなる時期に、または年末年始の厳冬期に、
しかも夜間歩行なんかで登ってきたら…と考えるだけで
小屋番としては恐ろしいです。

「2017年を迎える瞬間、標高2017mに居る」
または
「2017年の初日の出を2017mで見る」
というのはとてもステキなことだと思います。一生の思い出になるでしょう。
ですがそれには、充分な冬山経験と冬山装備、それにルートを知り尽くしていることが欠かせません。

「年末年始の雲取山のために、初めてのアイゼンをこれから買おうと思っている」
という方は、ちょっとだけ冷静になって考えてください。
とくに夜間歩行をしようと思っているのなら、
たとえ他の山では中級程度の経験者であっても
とにかく一度!下見として雪の無い時期の明るいうちにお越しください。
鴨沢ルートでも危険なガケがたくさんあることが分かると思います。
奥多摩の山容は急峻で、転滑落事故が多く、死亡事故も起きています。
富士山の八合目からの御来光登山とは全く違います。

少しでも不安のある方は、無理は厳禁。
秋の青空の雲取山山頂の写真を撮って、来年の年賀状にするのが一番いいと思いますよ〜。

2017フィーバー、登山者としての心得をちゃんと持っている方たちと一緒に
気持ち良く♪楽しく♫安全に!!盛り上がれれば嬉しいです。
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(今回の文中・アイキャッチ画像三枚は常連Aさんにご提供いただきました。ありがとうございます。)